作意の螺旋1






私がすべての真実を知っていたら、私の行動は変わったのだろうか。










  ――玖楼国


「・・・その羽根は姫の記憶です。」
雪兎はさくらの額に手をかざしながら言った。

「心がなくては躯は虚ろな容器にすぎない。このままでは・・・姫は・・・」

「おれにできることはないんですか!何か!」
必死の形相の小狼が叫ぶ。

雪兎が杖を召喚しながら言った。
「これから別の世界に住む人の元にあなた達を送ります。」

「あの人は『次元の魔女』と呼ばれています。」

雪兎が杖で魔法を使うと小狼達の下に魔法陣が浮き上がった。

「あの人にすべてを話してください。そして姫を救う手立てを・・・・・・!」

小狼達の周囲がゆがみ、二人を飲み込んだ。










 ――日本国


「これから貴方を異界に飛ばします。」
知世姫はさっと印を結ぶと、術を黒鋼に向かって放った。

黒鋼の周囲の空間がゆがみ、彼を飲み込もうとうごめく。
黒鋼は飲み込まれてなるかと、文句を言いながら必死にもがく。

「貴方はきっとたくさんの人々に出会うでしょう。
 そこで本当の意味での強さを知るでしょう。」

喚き立てる黒鋼とは対照的に、知世姫はいたって穏やかである。

「てめー!覚えてろよ――!」

トプンと異界へ飲み込まれていった。

「旅が・・・・・・始まりますわ」










 ――セレス国


「行かなきゃならないんだよ。」
ファイはチィに言った。

「どこに?」
チィは長い髪をたなびかせ、ファイのそばをふわりと飛ぶ。

「遠くに、できるだけ遠くに。アシュラ王のいない世界へ。」
ファイの顔色が少し、翳った。

ファイは杖で自分の周りに呪文を書く。

「さてと、行きますか――」

呪文をなぞるように空間がゆがみ、ファイを飲み込み始める。
そしてシュルンと飲み込まれていった。

「魔女の元へ」










 ――リージェ国


「今からお前を異世界へ送る。」
長い杖を持った占術師が言った。

その足元に片膝をつき、少年が一人うつむいていた。
「はっ。」

「次元の魔女に会い、皇子を探す手立てを請うのだ。」

占術師は大きな首飾りを少年の首へかけた。
「これはお前の助けになるだろう。はずしてはならぬぞ。」

「かしこまりました。」
少年はうつむいたまま、答えた。

「では行くのだ。」
占術師が杖をかざすと、空間がゆがみ、少年は吸い込まれていった。

「国の未来はお前にかかっているのだ。」










彼らの旅は始まった。






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<あとがき>
構想だけはずっと頭にあったものの、自分でサイトを作れるかわからなかったので そのままにしていたのですが、ついに始めてしまいました。

これが所謂、変換なくてごめんなさい状態なのかと・・・。

形にするのは難しいものだと、ひしひし感じておりますが、がんばって最後まで書きたいです。
がんばります。